きみのせいじゃない
……ようこそ。
いいえ、もう、とっくに還っておいででしたね。
此処は、名を削り、記憶を濁し、罪を分かつ場所。
問いは、貴方の奥底を穿ち、やがて“それ”の輪郭をあらわにいたします。
さあ、誰のせいでもない物語へ──。
いいえ、もう、とっくに還っておいででしたね。
此処は、名を削り、記憶を濁し、罪を分かつ場所。
問いは、貴方の奥底を穿ち、やがて“それ”の輪郭をあらわにいたします。
さあ、誰のせいでもない物語へ──。
結果:全4パターン
【第一問】《影踏みの刻、呼ぶ声は誰のもの》 問い: 夜の帳が静かに降りるころ、貴方さまの耳に、確かに何かが囁きました。 それは懐かしき声でしょうか、それとも――知らぬ影の呼びかけでしょうか?
呼ばれた気はいたしましたが、何も応えず、静かに目を閉じました
どうか、お名を呼ばないでくださいませ。声に触れれば、わたくしが崩れてしまいます
あの声は……わたくしの中から響いておりますの。ずっと、ずっと前から……
声の主は、わたくしに似ておりました。けれど、あの人ではありませんでした
【第二問】《綻びの記憶、血に濡れし糸》 問い: 断たれた記憶の断片が、まるで赤黒き糸のように指先に絡みつきます。 その糸を、あなたさまは――どうされましたか?
それは、わたくしの過ちの形をしておりました。逃れられぬものです
そっと切り離しました。血が滲みましたが、もう繋がりは致しません
それは大切な儀にて用いるもの。決して手放せぬ、継承の証でございます
誰かの声が、糸の中に棲んでおりました。けれど……その声がわたくしを名乗るのです
【第三問】《水面に揺れる、笑み無き顔》 問い: 映し鏡の水面には、貴方さまの顔が映っておりました。 けれど――その瞳は、貴方さまのものではなかったのです。
知らぬ顔でございますが、どこかで何度も見た気がいたします
懐かしくも恐ろしいものでございました。おそらく、過去のわたくしでしょう
あれは、かつて名を喰らった者の瞳。わたくしではございません
あれは祖の顔、祈りの中で見た面影にございます
【第四問】《凪のとき、心は何を奏でしや》 問い: 風も無く、音も無く、時だけが淀むように流れる場所にて―― 貴方さまの内より浮かび上がった感情とは、いかなるものでございましたか?
静寂の中で、わたくしの役目がまたひとつ浮かび上がったのでございます
怖ろしゅうございました。けれど、それでも笑っていた気がします
無音が、懐かしゅうございました。あれはわたくしの眠りの記憶
ただ静かに、通り過ぎるのを待っておりました
【第五問】《灯火、誰が焚べたか》 問い: 闇の中、一筋の灯が揺れておりました。貴方さまはそれを、 誰の手によるものとお感じになりましたか?
それはわたくしの灯火。目を逸らせば、世界が崩れてしまいますゆえ
あの灯を焚べたのは、わたくしではございません。けれど、見覚えが……
あの灯は、継がれるもの。儀式の始まりを告げるもの
あれは、ただそこに在ったものでしょう。誰のものでもないはずです
【第六問】《囁く者と名を喰らう霧》 問い: 名前を呼ばれたとき、貴方さまの心はどのように動かれましたか?
名を呼ばれてはなりません。名とは、わたくしの鎖でございますから
祖霊より授かりし名、決して他者には渡しませぬ
その名は、かつてわたくしが与えたもの。忘れておりません
誰かに似た名でございましたが、わたくしではございませんでした
【第七問】《逆巻く祈りと沈む月》 問い: 月が満ちるとき、あなたさまは何を願われますか?
願いなど、もはや不要。わたくしが存在そのものでございますから
恐ろしくなりました。なぜ、わたくしの姿など……?
祖の舞が始まります。その時を待ち焦がれておりました
叶えぬ祈りを捧げました。けれど、それで良いのです
【第八問】《誰のせいではなかったのだと》 問い: すべてが終わったあの日、貴方さまは――誰を赦されましたか?
あれは儀の中で定められしこと。わたくしの意志ではございません
赦すも赦さぬも、もう過ぎ去ったことにございます
あの者を赦しました。わたくしが呼んでしまった者を……
誰も赦しませぬ。赦せば、わたくしの輪郭が溶けてしまう